コラム

2018.06.01

連載コラムvol.02「遺言について」

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平成27年1月1日以降の相続ついては、基礎控除が変更になりました。

法定相続人が妻と子供2人の場合、平成26年までは遺産の総額が8000万円以下の方は、相続税が課税されませんでした。

平成27年以降は基礎控除額が引き下げとなり、上記の場合、相続税が課税されない金額は4800万円になりました。

基礎控除額の引き下げに伴い、平成26年は、被相続人(死亡者)に対する相続税の申告の必要のある方の割合は、4.4%だったのに対して、平成27年は、8.0%に増加しました。

 

平成28年は、8.1%でした。

一方、日本はますます超高齢化社会になっております。

 

平成25年に人口の25%、4人に1人が65歳以上の高齢者となりました。

20年後には、3人に1人が65歳以上の高齢者になると予測されております。

「相続税」や「相続対策」という事が、これまで以上に身近なトピックスになってきております。

 

遺言について

今回は、相続対策の大きな柱になります「遺言」について書いていきます。

まず「遺言」ですが、なんと読みますか?「ゆいごん」ですか、「いごん」ですか?

どちらも正解です。一般的には「ゆいごん」と読むことが多いと思いますが、法律や相続に関わる場面では「いごん」と読む場合が多数です。

民法第960条に、「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、する事ができない」とあります。

この場合の「遺言」は「いごん」です。「いごん」の方が、法的な効力を目的としている、と言えそうです。

病床の最後の言葉や、ビデオレターで「長男に不動産を、次男に預金を…」と語られていたとします。

この言葉は「ゆいごん」ですが「いごん」ではありません。

前述のように、「いごん」は民法に定めた方式に従わなければ、する事ができないとされております。

ビデオレターは民法に定められた方法ではない「ゆいごん」ですので、法的な効力はない、という事になります。

せっかく、自分の死後に息子たちが仲良くするように「ゆいごん」をビデオレターに残しましたが、「いごん」ではない為に効力がない事になります。

 

遺言の方式

遺言の方式は、民法960条以下に厳格に定められています。

大きく普通方式と特別方式に分けられます。特別方式は危急の際など特殊な場合に認められる方式です。一般的な遺言は、普通方式の中の自筆証書遺言と公正証書遺言になります。

今回はその中でも自筆証書遺言について見てみましょう。

民法968条(自筆証書遺言)に「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定められています。

日付、氏名、押印のいずれかひとつでも欠けると無効となります。

「全文自書」を要件としているのは、「筆跡により、間違いなく本人が書いたもの」である事を確認する為ですので、パソコンやワープロで作成した書面は、本人が作成したものであっても自筆証書遺言としての効力はありません。

録音テープやビデオレターも要件を満たさないので遺言書としては無効です。

カーボン紙を用いて複写の方法で記載されている場合はどうでしょうか? カーボン複写は、実質的には自書に等しいので、「自書」に当たるとされています。

日付に関しても自書が必要です。

「〇〇年〇〇月吉日」や「〇〇年〇〇月」という記載方法は、日にちを特定することができない為に無効となります。

「〇〇年の勤労感謝の日」や「〇〇の何回目の誕生日」の記載は、日にちを特定することができますので有効となります。

氏名も自書が必要ですが、他人との混同が生じない場合には「氏」または「名」のみでもよく、ペンネームでもよいとされています。

押印される印鑑は特に制限がなく、実印である必要はありません。拇印・指印でもよいかどうかは判決でも結論が分かれるところですので、認印でも構いませんが印鑑を押印しておいたほうが安全と言えます。

 

もう一度民法968条(自筆証書遺言)です。「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」です。

これだけの短い条文ですので、有効か無効かの論点はいくつもあります。

遺言者は、遺言書に思いを込めて作成します。その遺言書が要件も満たさなかった為に無効とされるのはとても残念な事です。

遺言書が無効となった為に、相続が「争続」となることは遺言者の望みではありません。

遺言書は「相続対策」「相続税対策」に有効に働くこともあります。正しい方法で遺言書を作成し、遺言者の思いを次の世代に遺していきたいものです。

記事を書いた人/編集後記

古江 慎二
司法書士。2級建築士。宅地建物取引士。本業は司法書士でありながら、複数の資格を併せ持つ。不動産、商業登記、相続、遺言、成年後見と守備範囲は広い。元セールスマンならではの人当たりの良さとわかりやすい説明が人気。

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