コラム

2018.09.01

連載コラムvol.03「家賃滞納とその対処法①」

シェア

 

家賃滞納とその対処法

久しぶりに通帳を見たら半年も家賃が入っていなかった!たまにそんな話を聞きます。皆さんはこんなことはありませんか?

大家さんにとって空室よりも怖いものが家賃滞納です。

家賃が入らないうえに次の入居者を募集することもできない。大家さんは家賃収入が入らなくても管理費等の支払いやローンの返済は当然のことながら続けなければなりません。まさに踏んだり蹴ったりです。

飲食店で無銭飲食をしたら警察に捕まります。コンビニで缶ジュース1本盗んでも万引きで捕まります。でも家賃を滞納しても警察に捕まることはありません。

おかしな話だと思われますか?

 

裁判所の考え

裁判所の考えはそうではないようです。

賃貸借契約は当事者相互の信頼関係に基づく継続的契約であるとして、家賃が少し遅れた程度の契約不履行では解除権が制限されるとしています。

今回は家賃が滞納されたらどうしたらよいか、また最悪の場合は強制退去ということになりますが、そのための手続きとそれにかかかる費用などを解説してみたいと思います。

家賃を払わないのなら、荷物を放り出してカギを交換するという大家さんや管理会社もいますが、実力行使は大家さんのほうが罪に問われます。

たとえば、勝手にカギを開けて中に立ち入ると住居侵入罪、家財などの持ち物を運び出したり壊したりすると器物損壊罪になります。

感情的になって強い口調で入居者を責め立てると脅迫罪にもなりかねません。

 

実力行使(自力救済)は不法行為

実力行使(自力救済)は不法行為になりますので、損害賠償請求権が入居者のほうに発生します。損害賠償請求をされた場合、滞納されたうえに賠償金まで払わなければならなくなります。

賠償金を払ってもいいからカギを交換するという方もいるかもしれませんが、損害賠償請求だけではなく、住居侵入罪は刑事事件に発展する可能性もあります。

ちなみに、契約書に取り決めをしてあったとしてもそれらの行為は原則違法です。

賃貸借契約書には家賃を滞納したら、契約解除になると書いてあります。ですが、契約は解除できても入居者が出ていかないと意味がありません。

だからといって強制的に追い出すことはできないのです。

まず、家賃滞納を確認したときは迅速な対処が必要です。だからといって、いきなり内容証明を送ったり、連帯保証人に電話することはしません。

ほとんどの場合、うっかり振り込みを忘れていたケースが多いので、電話すればすぐに振り込んでもらえることが大半です。

それにもかかわらず、高圧的な督促をかけると、入居者はちょっと忘れたぐらいでそこまでしなくてもという気持ちになってしまうでしょう。

また、逆に部屋の設備の不具合で入居者に迷惑をかけてしまうこともありますので、できれば良好な関係を維持しておくほうが賢明です。

ですから弊社の場合はまずは電話をかけ、お忘れではございませんか?という程度のやんわりとした対応をし、もしそうであれば、便利な口座振替をお勧めします。

ほとんどの場合これで解決します。

しかし、連絡がつかないこともあります。その次は手紙を郵送したり訪問して、不在の場合はポストに手紙を投函して連絡をつけます。

この段階でも文面は柔らかいものです。

注意点としては、近隣住民に滞納が知れ渡るような張り紙などをしたり、職場に電話して家賃滞納が知れ渡るような話し方をしてはいけません。

そのようにしても1か月以上連絡がつかないとなるといよいよ督促状を送付します。

また、連帯保証人に連絡して連帯保証人からも連絡を取ってもらうよう依頼し、最悪の場合は代わりに払ってもらうことを予告しておきます。

これもやんわりと伝えます。

連帯保証人がいない場合や、督促状を送付しても反応がない場合は内容証明を送付します。

内容証明は入居者へ督促した証拠になり、裁判所への申し立ての前段階に入ったことを意味します。

 

3か月以上滞納が続くと…

3か月以上滞納が続くと、裁判所へ申し立てをする前に契約解除通知を内容証明で送ります。

もっと早く契約解除できないものかと思いますが、契約を解除するには大家さんと入居者の信頼関係が破壊されていると認められる必要があります。

過去に何度も滞納していたり、決められた用法を守っていなかったなどの場合を除いて、通常1か月の滞納では信頼関係が破壊されているとは言い切れず、契約解除が認められることは少ないようです。

信頼関係が破壊されていると認められる目安は3か月といわれています。

次回は、契約解除から強制退去までの流れを説明します。

 

記事を書いた人/編集後記

古江 慎二
司法書士。2級建築士。宅地建物取引士。本業は司法書士でありながら、複数の資格を併せ持つ。不動産、商業登記、相続、遺言、成年後見と守備範囲は広い。元セールスマンならではの人当たりの良さとわかりやすい説明が人気。

【ふるえ司法書士事務所】
神戸市中央区相生町四丁目2番28号
神戸駅前千代田ビル8階
TEL:078-381-8705 FAX:078-381-8706