コラム

2019.02.01

連載コラムvol.07「不動産所得がある方の節税について」

シェア

不動産所得がある方の節税について

いよいよ確定申告の季節がやってまいりました。

不動産収入のある方は確定申告の準備をされているころかと思います。

不動産収入に対する経費としては、減価償却費、固定資産税、修繕費、借入金利息等がメインであり、それ以外の経費が多額になることはまれであるため、所得税を計算すると思いのほか高くなっているのではないでしょうか。

また、不動産は将来相続財産となり相続税が発生するため、早く対策を始めたいと思われている方も多いのではないでしょうか。

こういった不動産賃貸収入がある方の所得税及び相続税の節税対策としては、不動産管理会社を設立して節税する方法があります(もちろん、不動産管理業を始めるわけではありません)。

具体的にどのような節税方法、節税効果があるのかをまとめてみました。

 

①所得分散

これまで個人で所有していた建物を設立した不動産管理会社に売却して法人所有とし、家族も役員として役員給与を支払うことにより、所得分散でます。また、給与収入には給与所得控除があることから、法人では支払った給与自体が経費、受け取った給与は給与所得控除を受け、二段階で所得を圧縮できることになります。

ただし、法人は所得がなくても法人市民税、県税が発生します。

(市町村によって異なりますが、両方で8万円程度)

また、所得税は累進課税であり、所得金額が上がれば上がるほど高くなっていくのに対し、法人税は法人所得が800万円超と以下の二段階だけなので、所得金額が高くなっていくと所得税よりも法人税の方が税金が安くなり、役員にする家族が居なくて役員給与としての所得分散できなくても節税効果が期待できます。

 

②相続財産の減少

不動産を法人に売却することにより、相続財産が減少します。

法人に売却する金額は、建築費用から減価償却を引いた未償却残高で売却すると譲渡所得はゼロになります。(不動産取得税等は発生するが...)

 

③生前贈与

建物を法人に売却した代金は金銭で支払を受けずに未収債権とし、毎年子供や孫に非課税限度額以下(年間110万円以下)で贈与していきます。(不動産自体は小分けにして贈与するのは難しいですが、未収債権の贈与なら簡単です。)

金銭の贈与については、幼い子供や孫への贈与だと、早くから金銭を与えてしまうのは教育上良くないのではないか、また現役で働いている世代への贈与だと、勤労意欲をなくしてしまうのではないか、といった心配があるかと思われますが、贈与する資産が未収債権であれば、子供や孫がすぐに現金を手にできるわけではなく、安心です。

 

④退職金の支払い

相続が発生した際、法人から死亡退職金や弔慰金を支払い、相続人が相続します。

(退職金は500万円×相続人の人数まで非課税なので、節税効果が高い)

また、設立した不動産管理会社で法人保険に加入し、相続時に保険金が支払われた場合、当該保険金を退職金を支払う資金に充てることができます。

法人保険については、掛金の支払時には法人の経費、保険金が支払われた際には法人の所得となりますが、同金額を退職金・弔慰金の支払に充てることにより経費となって所得が相殺され、また、退職金は税率が低く、相続税についても上記控除額があるので何重にも節税効果があります。

(ただし、全額損金算入できる法人保険について、最近国税庁が問題視しており、近々なんらかの制限や制約が追加される可能性があります。)

 

以上のような方法で対策を行うとかなりの節税効果が期待でき、また、始めるのが早ければ早いほど効果があります。

 

相続税・贈与税対策

相続税・贈与税についてはきちんと対策を立てておかないと、せっかく築いた財産は代が変わる度にとんでもない早さで目減りしていくことになります。

逆に、早くから対策をたてておくと、築いた財産を減らさずに子供へ孫へ引き継いでいくことができ、後の世代の生活が楽になることは間違いありません。

話は変わりますが、今年は年始から株価、米ドルの急降下などがあり、株や外貨を保有しておられた方は甚大な被害を被られたのでは、と思います。

何を隠そう、実は私もその一人で、かなりの痛手を被りました。必ず取り返すつもりではいますが、この先を見通せない難しい時代、すぐに有効な対策が打てるわけでもなく、今も試行錯誤を繰り返しています。

しかしそのような中、不動産から発生する家賃収入は全く動じることなく安定して収益を出し続けていることと思います。

収益物件をお持ちの方は、将来税金の支払のために収益物件を売却することなどないように早めに贈与や相続の対策を始められては、と思います。

 

今回は不動産の賃貸収入がある人を想定して書かせていただきましたが、業種業態によっては様々な節税方法があり、また機会をいただいてご紹介できればと思います。

記事を書いた人/編集後記

濱野 真二
税理士。元大阪国税局査察官。数々の脱税事件に携わり、税務署勤務時代には多くの企業調査経験を持つ異色の税理士。経験に基づいた「査察官の目」から繰り出される税務対策は顧客からの信頼も厚い。

【濱野真二税理士事務所】
神戸市中央区元町通7-1-2-503
TEL:078-954-5955