コラム

2019.03.01

連載コラムvol.08「相続法の改定」

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相続法の改定

2018年7月、相続に関する民法の規定(相続法)が、約40年ぶりに大きく改正されました。高齢化が進み、相続のルールも変化する時代に即したものが求められるようになったからです。

 

今回の改正では、残された配偶者が安心してその後の生活を送れるよう「配偶者居住権」という新しい権利が作られました。

 

また遺言制度をより利用しやすいものにするため、自筆証書遺言の要件が緩和され、法務局での自筆証書遺言の保管制度が新たに設けられました。

 

ほかにも亡くなった方の介護や看病で貢献した相続人以外の親族が、相続人に対し金銭請求できるようになったり、遺産分割前に被相続人名義の預貯金の一部が払い戻し可能になるなど、いくつかの重要な見直しが行われています。

 

自筆証書遺言の方式を緩和する方策

これらの改正相続法は2019年から2020年にかけて段階的に施行される予定ですが、まず2019年1月に施行された「自筆証書遺言の方式を緩和する方策」から見ていきましょう。

前々回、自筆証書遺言に必要な条件について解説しましたが、これまでの民法の規定では自筆証書遺言をする場合、遺言者は添付する目録も含め全文を自書する必要がありました。

 

その負担を軽くするため、今回の改正では「財産目録」については自書でなくても、パソコン等で作成した目録や、不動産の登記事項証明書、銀行通帳のコピーなどを添付することができるようになりました。

 

手書きの遺言書に「別紙目録1の不動産を〇〇に、別紙目録2の財産を〇〇に相続させる。」などと記載し、別紙に財産目録を添付します。

 

目録の各ページには署名・押印が必要ですが、これまでの自書の負担がかなり軽減されることになると思われます。

 

さらに今回の改正で、自筆証書遺言を法務局で保管する制度も設けられました。(この制度は2020年7月10日からの施行となり、それ以前に保管してもらうことはできませんのでご注意ください。)

自筆証書の遺言書を自宅で保管すると、紛失してしまったり、書き換えられたりするおそれもあります。そうしたトラブルを防ぐため、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(遺言書保管法)が定められ、遺言者が自筆証書の遺言書を法務局の遺言書保管所に保管できるようになりました。

 

遺言者の生存中は遺言者しか閲覧ができませんが、死亡後、相続人は法務局に遺言書の有無を照会したり、遺言書の写し等の請求をすることができるようになります。

 

これまで必要だった裁判所での遺言書の検認手続きも不要となります。遺言書の保管についての心配がなくなり、かつ相続開始後の手続きもスムーズに進められるメリットがあります。

 

遺言は相続トラブルを防ぐのに大変有効な手段です。

 

今回の改正で、遺言制度がより利用しやすいものとなりました。時代の節目を迎え、新しい世代の安心のためにも、相続の在り方を検討されるきっかけにされてはいかがでしょうか。

記事を書いた人/編集後記

古江 慎二
司法書士。2級建築士。宅地建物取引士。本業は司法書士でありながら、複数の資格を併せ持つ。不動産、商業登記、相続、遺言、成年後見と守備範囲は広い。元セールスマンならではの人当たりの良さとわかりやすい説明が人気。

【ふるえ司法書士事務所】
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